日 時 題   目 出  演

H 12. 1. 30

 ヘンデルとグレーテル
四国二期会高知支部オペラ公演
小林 好恵


メルヘンの世界を熱演
院長  坂要一郎

 細木ユニティ病院のコンサートは、1997年6月に第1回が開催されて以来毎月2回のペースで行われ、1月30日の今回は50回記念ということで、四国二期会高知支部によるオペラ「ヘンデルとグレーテル」(フンパーディンク作曲)の日本語ハイライト上演となりました。ユニティ病院としては初めてのオペラ公演ですが、精神病院でオペラが催されることは、ひょっとしたら全国的にも初めてかもしれません。
 舞台装置(小林憲二、以下敬称略)、照明(江野慎次)、衣装も本格的なものでした。進行は、小林好恵指揮・演出のもと、軽快なピアノ(野村恵美)の伴奏にのり、客席の患者さんもいつの間にかメルヘン(おとぎ話)の世界に引き込まれ、思わず応援の拍手をしたり、声がけをしたりし、舞台もそれに応えてなかなかの熱演でした。
 さて物語りは、〈お母さんにしかられ、森にいちご摘みに入った兄弟が道に迷い、お菓子の家に住む魔女に捕まり、危うくお菓子にされて食べられるところを、機転をきかせて逆に魔女をお菓子にしてしまい、めでたしめでたし〉という筋書きです。
 メルヘンも私が見ると、つい精神医学的に解釈してしまいます。冒頭の兄(ヘンゼル=山口律子)、妹(グレーテル=濱田弘子)の「心の中のイヤなことを掃き出そう」というほうきで遊びながらのデュエット。食べ物がないのでヒステリー気味のお母さん(ゲルトルート=北川富貴)。客席の後ろから出てきて観客を驚かせたお父さん(ペーター=坪内一郎)は、食料が手に入って嬉しくて少し酔っぱらっていたよう。
 森の中で迷った時、返事をする木霊はまるで幻聴のよう。暗い森で恐怖に震える2人を優しく眠らせる眠りの精(福留和世)。つゆの精(小松郁子)は、朝のすがすがしい目覚めをもたらすお日様のお使い−−−あんな声で「お寝坊さん起きなさい」と言われたら、病棟の患者さんも元気良く起きられそうだね。
 そしてお菓子の魔女(清水紀幸)の登場−−−魔女はなんとロジーナという素敵な名前をもっていました。おいしそうな兄弟の出現に舌なめずりしながらうかれ踊るさま! 彼女の魔法は催眠術のよう。ややお腹が出てて、この過食症の魔女に乗られるほうきも大変だと、つい同情してしまいました。
 登場人物それぞれ悩みや不安を抱き、危機的状況におかれてそれらを乗り越えようとするところにドラマがあるのだということを教えてくれた舞台でした。その意味で病気を克服しようとする患者さんにとっても励みになったと思います。
 最後に、「また公演に来てほしいと思われる方は拍手をどうぞ」という司会の池田貴美心理士に応じた大きな拍手につつまれて、公演は終わりました。出演、スタッフの皆様、楽しい舞台をありがとうございました。