日 時 題   目 出  演
H 12. 8. 7
ウルマー・カンマー・アンサンブル 2000
  ドイツ・ウルム市からの日本縦断コンサート
ウルマー・カンマー・アンサンブル
ユウリ・ベルトーク (ヴァイオリン)
磯村 みどり (ヴァイオリン)
磯村 寿彦 (ヴィオラ)
ハルトムート.ブレメンデュラ・マイヤー (チェロ)
杉本 暁史 (ファゴット)
前田 孝一 (テノール)


ドイツ・ウルム市から室内楽の贈りもの
院長  坂要一郎

 心を落ち着かせるチェロの響き、柔らかく深いファゴットの音色、すがすがしいリリテックテノール−−−2年ぶりのウルマー・カンマ−・アンサンブルの演奏会が8月7日、細木ユニティ病院のホールで開催され、ヨーロッパの繊細で優雅なハーモニーを披露してくれました。
 思わずうきうきして踊りだしたくなるハンガリーの民族舞踊・モンティ作曲のチャルダッシュでは、当院のスタッフの飛び入り参加も加わって、聴きどころ一杯の演奏会でした。
 中でも心にしみたのは「望郷のバラード」でしょう。これは、ルーマニア独立運動で捕らわれの身となった作曲家ボルムベルグが牢屋の中で故郷を思って作った曲で、静かで哀愁極まる、思わず涙を誘われるメロディーが印象的でした。
 何で病気の患者さんにこのような曲を、と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、芸術家の表現する哀しみは私たちのそれを深め、心の空間を押し広げ、それに耐える力を与えてくれます。演奏したベルトークさん自身、1986年、ちょうど私がウルム留学中に、ルーマニアから西ドイツにヴァイオリンひとつで亡命した方で、彼ならではの心の琴線に触れる名演奏だったと思います。
 演奏曲目はほかに、ヴィヴァルディ弦楽合奏曲「四季」より「春」、バッハチェロソナタBWV107、ディビエンヌファゴット四重奏曲の中から「第3楽章」、シューベルト弦楽四重奏曲、小林秀雄「から松」、全員合奏・合唱「夏の思い出」。アンコールはイタリア民謡「カタリ」と、粋で心楽しい「魅惑のワルツ」でした。
 出演は、第一ヴァイオリンがユリウ・ベルトーク、第二ヴァイオリンが磯村みどり、ヴィオラは磯村寿彦、チェロとピアノがハルトムート・プレメンドラ・マイヤー、ファゴットが杉本暁史、テノール・前田孝一。院内音楽療法担当のマリンバ・上内明里、ピアノ・山崎静香の参加も大好評で、「音楽性があるので練習すればどんどんうまくなる。頑張って下さい」とのベルトークさんの評でした。
 音色だけでなく、アンサンブルのメンバーがお互い同士それとなく気を配りながらハーモニーを醸しだす姿も素敵だったと感じるのは私だけの印象ではないと思います。そういった雰囲気は医療面でも、とても必要なことだと思います。人と人との間での心のハーモニーが感じられるようになれば、心の病も癒され始めているのではないでしょうか。




マイヤーさんの音楽療法

精神科部長  弘井正

 ウルマー・カンマ−オーケストラは、2年に一度、僕らにさまざまな音楽の楽しみを教えてくれるとともに、音楽との取り組みも人それぞれだと教えてくれているようだ。
 今回、オーケストラ初参加のチェリストのマイヤーさんはコンサート翌日の8月8日に、細木ユニティ病院で音楽療法を三つのプログラムの中で実施してくれた。
 一つ目は、40人ほどのコーラスで、声の出し方を指導しながら、「のばら」を患者さんと一緒に歌ったり、コーラスのプログラムを即席でやってくれた。
 二つ目は、20人弱の小グループでの創作的音楽療法。はじめ、みんなで竹になって目をつぶり、ゆれながらリラックスし、20人の一体感を促進し、声を出し、自分の声だけで勝手なメロディーを作り互いにあいさつし、不思議な空間を味わった。
 そのうちに、メンバーが好きな打楽器を持たされ、本当に単純なタンタタのリズムをメンバーに割り振り、マイヤーさんがピアノを弾きはじめ、「動いてください」「声を出してください」と指導しながら、歌い踊る“音楽念仏集団”が出来上がってしまった。その中でマイヤーさんは、一流ジャズピアニストのように即興してくれた。
 最後は、職員に対するボディーワークという手法のリラクゼーションの実施。竹が風に吹かれている、そんな自由な状態、それば自分の音楽演奏の支えにもなっている、と言われました。まるで虚無僧です。すばらしい音楽奏者。ありがとうございました。